“真面目”を休みたい時に。『家族のあいだで』レビュー

毎日トルコ映画を観る、摩衣子です。最近は1日10分だけ観る、という奇行を繰り返してました。

そういったわけで、14日かけて観終わった映画をひとつご紹介。話がわかりやすいので、細切れ映画鑑賞を好むあなたにもピッタリ(そんな人、自分以外に知らないけど)

こんな時にオススメ

  • ラクに観れる映画がいい。
  • 「今週も私よく頑張った」と思っている、金曜日の夜。
  • 明るい気分になりたい。

『家族のあいだで』なんて言われると真面目系かと思うけど、間違っても”しんみりしたい夜”にはお勧めしません。

多分、ワインよりファンタグレープが合う映画です

あらすじ

原題は「AILE ARASINDA」。直訳も「家族のあいだ」2017年制作/コメディ

結婚生活に問題を抱える男は、ひょんなことから女性歌手と友達に。彼女の娘がプロポーズされると、男は娘の父親役を務めてほしいと頼まれ、大騒動の幕を開ける。

家族のあいだで / Netflix

予告編はこちら

監督・脚本はオザン・アチュクタン/Ozan Açiktan。ドラマ、映画を精力的に撮っている監督さんのよう。

前回観た「明日への片道切符」も、同監督の作品。どちらもヒューマンドラマ、でも作風が全く違う。「明日への~」は、たったふたりの登場人物の、その心の動きや過去に焦点を当てた良作だった。

そしてこちらは終始賑やかでテンション高く、憎めないキャラクターが勢揃いしている。少なくとも”不快な気分になることはほぼない”映画。

キャスト

美人歌手の母ちゃん、デメット・エヴガル/Demet Evgar。ハッキリしたお顔立ちの女優さん。


成り代わりの父、エンギン・ギュナイドゥン/Engin Gunaydin。俳優でありコメディアン。良い年の重ね方してるなぁ、という感じ。



おふたりともこの作品で、トルコ国内の映画祭でベストアクター賞を受賞しておられます。


個人的に気になる、隣人の歌手役(端役のように聞こえるものの、結構重要な役どころ)のアイタ・ソゼリ/Ayta Sözeri。トルコ系ドイツ人の女優であり、LGBTの活動家。めちゃ上品で素敵なのです。



それにしても映画を観た直後でも思い出せないくらい、トルコ人の方のお名前は覚えるのに難儀します(もう役名覚えていない)。作品を多数観ていくことで、きっとあそこでも出てた、になるのでしょう。

レビュー/多分ネタバレなし

内容はシンプル、だけれども

Netflixの概略を観るだけで、話の本筋はある程度読めちゃうわけです。

「友人になった女性歌手の娘の結婚」のために「その娘の父親役を頼まれる」、結婚生活に問題を抱える男。

父親不在の家庭の娘。それをありのまま見せたのでは、支障をきたす結婚。

そしてそれに向けて父親の代役を頼むことで、ひとつ嘘が生まれる。その嘘を取り繕うために、また次の嘘を塗り重ねる。そして嘘が嘘を呼んで、嘘でがんじがらめになっていく…

と書くと、なんだか大層なことのようですが(実際本人たちは大真面目)、終始とにかく明るい。真面目なシーンもあったはず、でも観たあとにその記憶は全然残らない。

そして話の後半は、その塗り重ねた嘘をドカンドカンと回収していくのですが、これがふんだんに人間くさくて良いのです。

悪い人が出てこない=気楽に観れる

観ていると、日本でも一部の富裕層では未だに存在するであろう、家柄の違いが結婚を阻むようなことが、トルコでもあるのだなぁと分かります。それ自体に善悪はなく、むしろある意味合理的で、理解もできるわけです。

このストーリーの中で発生するアクシデントの数々も、実は誰もわるくない。一方から見ると他方は融通が効かないように見えても、それは習慣や文化がそうさせるのであり、嫌な人がそうさせているわけではない。

そういった意味でハラハラする必要がないので、嫌な気分にならずに、ラクに見られるのです。

若いふたりが、今どうしても結婚したい理由

これがまた、結構しょうもないです(失礼)

その理由で結婚して大丈夫なのかと、傍から見る人はおおかたそう思う理由でも、本人たちにとっては大きな動機なのですね。宗教も絡んでいるように察します。

最初から「この組み合わせはうまくいきづらそう」というケースはあるものの、逆に「意外と…」ということも充分あるのが結婚です。

トルコについての発見

私事ですが、トルコ映画を観る目的のひとつに「なぜか心惹かれる理由を探る」ことがあります。そこで、今回得たヒントをひとまず羅列。

欧米人が「Oh GOD…」と言いそうなシチュエーションで、彼らは「アッラー…」と言う。

やっぱり基本的には、イスラム教の人が多い様子。

感情表現が豊か。

これはひょっとしたら、日本人が(はたまた、自分が)マイノリティーなのかもしれないな、と感じたもの。韓国ドラマやハリウッド映画などを観ても、みなさん一様にリアクションが大きく、感情表現も大きい。

戦略?

出典 / IMDb

予告編を探すためにYoutubeを漁ると、この映画のオフショットやNG集などザクザク発見。こういった裏側を見せることで、観たこちらも愛着がさらに深まるというもの。

ファンになる心理、わかってますね(しみじみ)

愛すべきNG集
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